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手紙を読む 02

なぜ、先に知らせなかったのか。

慶長5年(1600)7月晦日 石田三成 → 真田昌幸

「お怒りになるのももっともです」。
三成は、挙兵の計画を先に知らせなかった理由を、昌幸へ説明しています。

この一節を読む

ことばを選ぶと、意味がわかります。

書状の一節公開翻刻より

〔中略〕

上田市の公開翻刻から、同じ段落の三か所を抜粋。〔中略〕は当サイトによる省略です。改行を追加しています。

翻刻の全文を読む ↗

01 / 相手の気持ちに触れる

前もってお知らせしなかったこと、
お怒りになるのももっともです。

現代語訳・当サイト

「兼ねて」は、前もって。「余儀なく」は、ここでは「もっともだ」「無理もない」という意味です。

挙兵の計画を事前に知らせなかったことについて、昌幸の腹立ちはもっともだと書き始めています。

説明の順序をたどる

02 / 知らせなかった理由

しかし、家康が大坂にいる間は、諸大名の考えが読めず、話を持ち出すのを控えました。

現代語訳・当サイト

「内府」は徳川家康を指します。「諸侍の心」は諸大名の意向、「言発」は言葉に出すこと。

周囲がどう動くかを見通せない中で、計画を話すのを控えた、と三成は昌幸に説明しています。

そのあとに続く説明へ

03 / いま、どう考えている?

ただ、今は後悔しています。

現代語訳・当サイト

長く事情を説明したあとに、この短い一文が続きます。「今」という言葉が、計画を内々に進めていた時と、手紙を書いている時を分けています。

そして手紙は、秀吉との関係を思い起こさせ、いま協力してほしいという依頼へ進みます。

「後悔」の先を読む
選んだ三つの箇所を、現代語で読む

前もってお知らせしなかったこと、お怒りになるのももっともです。しかし、家康が大坂にいる間は、諸大名の考えがどうにも読めなかったため、話を持ち出すのを控えていました。
〔中略〕
ただ、今は後悔しています。

当サイトによる現代語訳。中略部分の内容は、下で紹介しています。

前後を読む

周囲の動きが、見えていなかった。

三成の返事は、「お怒りになるのももっともです」と相手の気持ちに触れ、事前に知らせなかった理由を述べる順序で進みます。家康が大坂にいる間は諸大名の意向を読み切れず、計画を口に出すのを控えた、という説明です。

上で省いた部分では、昌幸が公儀をおろそかにしない人物であることに言及。そのうえで、内々の段階で話をしても、世の中がその方向へ動かなければ、昌幸一人に納得してもらっても意味がないと考えていた、と書いています。

「但し今は後悔に候」は、そうした説明に続く一文です。一文だけを読む時と、そこまでの理由を読んだ時では、手紙の見え方が変わります。

  1. 01

    腹立ちはもっともだ

    知らせなかったことに触れる。

  2. 02

    なぜ控えたか

    周囲の意向が読めなかった。

  3. 03

    いま、協力を頼む

    秀吉との関係を思い起こさせる。

段落の内容を、当サイトで三つに整理しています。引用と中略部分の全文

説明の、その先に

過去の事情から、いまのお願いへ。

「後悔」のあとには、昌幸の考えはもっともだと重ねつつ、「然れどもその段もはや入らざる事に候」と続きます。ここでは、すでに済んだ事情の説明から、これからの協力へと話を移しています。

太閤様御懇意忘れ思し食されず、
只今の御奉公希ふ所に候の事

同じ段落の結び・公開翻刻より

秀吉から受けた懇意を忘れず、いま奉公してほしい、というお願いです。三成は自分との関係だけでなく、昌幸と秀吉の関係に働きかけています。

理由を説明して終えるのではなく、次に何をしてほしいかまで伝える。そう読んでみると、この長い段落が、協力を取りつけるためのやりとりとして見えてきます。

引用・説明の根拠:上田市の公開翻刻。話の流れについては、本文を踏まえた当サイトの読みです。

出典

このページで読んだ資料。

資料名
真田昌幸宛石田三成書状
日付
慶長5年(1600)7月晦日(30日)
所蔵
真田宝物館
確認日
2026年9月17日
翻刻・現代語訳について

引用のもとにしたのは、原文を活字にした公開翻刻です。原本画像から当サイトが独自に文字を判読したものではありません。現代語訳・ことばの説明・改行・ふりがなは当サイトで編集しました。日付は当時の暦で表記しています。

このページで選んだ三か所は、同じ段落の抜粋です。二つ目と三つ目の間を省略し、本文中にその内容を要約しました。「後悔」を含む一文は前後の説明・依頼とあわせて扱っています。

同じ手紙を、もう少し。

真田昌幸へ送った、一通の中から。

慶長5年7月晦日の書状を、三つの一節から読みます。

  1. 01

    妻たちの様子を伝える。

    「御心安かるべく候」。妻たちを世話する大谷吉継の名と、安心を伝える言葉。

    この一節を読む
  2. 02

    なぜ、先に知らせなかったのか。

    「但し今は後悔に候」。事前に相談しなかった理由と、そのあとに続くお願い。

    いま読んでいる一節
  3. 03

    三人の使者に、役目を分ける。

    一人は返事を持って戻り、二人は会津へ。案内役と帰り道まで頼む一節。

    この一節を読む
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